リモートアクセスで小型PCをサーバーに

googleリモートデスクトップでサーバー化

シリーズ連載第2回。前回の記事では、個人仕様のトレード環境にアクセスする方法として、クラウドサービスを利用する方法をご紹介しました。今回紹介する方法は、外部アクセス可能なパソコンを自前で用意しようという手段です。

具体的には、パソコン対モバイルのP2P接続を利用します。自宅のPCをあたかもチャートサーバーとして振る舞うように設定し、モバイルからのアクセス先として運用するのです。自宅で待機させるPCは、省電力・低発熱で話題のスティック型パソコンorミニパソコン。スマホからのアクセスにはGoogleChromeのリモートデスクトップを利用します。

Chromeのリモートデスクトップ

外出先からスマホやタブレットで個人仕様のトレード環境にアクセスする。この特集では、第1回目にクラウドサービスを利用する方法をご紹介しました。クラウドサービスを利用するメリットは初期費用が掛からないこと。今回は趣向を変え、あえて初期投資を行い、自宅にパソコンを用意する方法をご紹介します。

最初に、外部から自宅のパソコンにアクセスする方法をご紹介しておきましょう。管理人が便利だと思うのが、GoogleChrome(グーグルクローム)のリモートデスクトップを利用する方法です。簡単に言えば、プラウザソフトのChrome同士を介して、自宅のパソコンと外出先のスマホ(もしくはタブレット)を繋げようという話ですね。GoogleChromeには、リモートアクセスの機能が標準装備されています。

Googleリモートデスクトップ

Googleリモートデスクトップ

一般にはultraVNCなどのソフトを使った遠隔操作の方法も知られています。ただ、ルーターのポート解放やグローバルIP取得の有無で難易度の高い設定が必要です。その点、GoogleChromeのリモートデスクトップはソフトをインストールするだけのお手軽設定でP2P接続が可能です。今回はお手軽な方法を使っていきます。

リモートデスクトップに必要なもの

GoogleChromeのリモートアクセスに必要なものは、以下の通りです。

  • ChromeにサインインするためのGoogleアカウント
  • GoogleChromeをインストールしたパソコン
  • リモートデスクトップアプリをインストールしたスマートフォンorタブレット

用意するものはこれだけです。当然ながら、パソコンもモバイルもネットに繋がっていることが大前提です。

接続アプリを立ち上げてPINを入力すると・・・。

リモートデスクトップの認証画面

リモートデスクトップの認証画面

Chromeを介して、自宅のパソコンに接続できる!

タブレットから接続した自宅PC

タブレットから接続した自宅PC

自宅パソコンを運用する障害

Chromeに備わっている接続機能を使って、自宅のパソコンに外出先からアクセスしてやろうというのが、今回の主旨です。小難しい話をすると、接続の方法はP2P(ピアツーピア)と呼ばれます。クライアント(端末)同士を結ぶ方法で、厳密にはサーバーを運用する行為とはちょっと違いますね。

もっとも、サーバーを建てるのと同等の手間と問題は起こります。加えて、サーバーOSを利用しないがゆえの障害も起こり得ます。簡単に列挙すると以下の通りです。

  • パソコン側を常時起動していなければならない
  • パソコン上のChromeも起動していなければならない
  • パソコンがフリーズしたらアウト(外出先から再起動できない)
  • 稼働している分だけ電気代金が掛かる
  • 稼働している間は熱が出る

いわゆる安定稼働や省エネの面では、どうしてもサーバーを運用するケースには劣ります。この点を懸念するのであれば、前回ご紹介したクラウドサービスを使ったトレード環境を構築する手段を取った方が問題は起こりづらいことでしょう。

参考:クラウドで自宅のFXチャート環境を持ち出そう

ミニパソコンで問題解決

クライアントPCを24時間稼働するというのは、とかく安定稼働と電力消費に懸念のある方法です。しかし、サーバー運用に比べて、初期投資・ランニングコストを抑えられるメリットがあるのも事実です。Windowsの使い方さえ分かっていれば、メンテナンスやアップデートを手軽にできるといった点もポイントでしょう。

そこで、今回紹介した方法論に興味のある方に向けて、解決策をひとつ提示したいと思います。それは「スティック型パソコン」と呼ばれる小型・省電力のパソコンを用意することです。近年、スティックパソコンと呼ばれる、非常に省スペース・省電力のミニパソコンが市場に出回るようになりました。

このような小型パソコンを使うメリットは、以下の通りです。

  • ノートパソコンより断然安い
  • 小型なので自宅にスペースを取らない
  • 小型の割に高性能
  • 設定さえ済めばモニタは不要
  • 構成がシンプルなので安定稼働
  • 当然の省電力

通常のデスクトップPCに比べると性能は劣るものの、相対的には安価で省電力、省スペースを実現することができます。そもそもがMetaTrader程度のプログラムを動かすのにハイスペックパソコンは必要ないのです。ならば性能よりも、コストとエコロジーを優先しようというアイデアです。

管理人おすすめの超小型PC

管理人が注目している超小型PCをご紹介していきましょう。多少、スペックに幅を持たせて、スティック型パソコンに加えてミニパソコンもご紹介していきます。どれも安価で、2万円~5万円程度で買えるものを選びました。

スティック型パソコン

BTOパソコンのマウスコンピュータが販売する超小型パソコンがこれ。従来の弁当箱から脱却した斬新な製品です。パソコンにモニタを接続するという既成概念を脱却し「モニタにスティック型PCを繋げる」という発想の転換を図っています。

  • 小型ゆえに持ち運びも可能。
  • 当然の省電力で、標準稼働時なら2.5W(LED電球一個分)。
  • 気になるお値段は2万円~で格安。
  • Windows8(withBing)がインストール済み。OS代が掛かりません。

MetaTraderとEAなどの簡単なプログラムを稼働させておくだけなら、これで十分ですね。基本、インストール時・メンテナンス時だけモニタに接続すれば、あとはLAN接続のままホッタラカシでいいと思います。

マウスコンピュータ~miniシリーズ

同じくBTOパソコン販売のマウスコンピュータから。少し欲張るのならこちら。ストレージに余裕があるので、Officeや他のプログラムをインストールしたい場合にちょうど良いスペックです。

  • サイズの目安は弁当箱大。
  • 気になるお値段は4万円~。
  • やはりWindows8インストール済み。
  • 追加料金でカスタマイズ可能。
  • 最大消費電力は65W。

ちょっと欲張りたい方向けのミニパソコンです。

ZOTAC~ZBOXシリーズ

こちらはZOTACというメーカーの超小型パソコン。新製品なので使い勝手は未知数であるものの、フルスペックながら理想的なコンパクト感を出しています。ただし、ベアボーンキットなのでメモリを自分で用意する必要があります。

  • 占有面積はCDケース程度。
  • ファンレス。静音。
  • Wifi内蔵でLANケーブル不要。
  • USBからSDカードまで充実のインターフェース。
  • 価格は2万円~12万円まで幅広く。

小型でスタイリッシュ、かつフルスペックと欲張りこの上ない一品。トレード環境構築以外に趣味も兼ねて、という方におすすめ。

以上が管理人のおすすめする小型パソコンでした。最後は趣味のものまで紹介してしまいましたが、勝ち組トレーダーの方ならポンっとお金を払いそうな魅力的な製品だと思います。トレード専用に使えば、確定申告の経費で落ちますしね。

次回は、小型PCでは解決できない安定稼働と再起動の問題を簡易サーバーでクリアする方法をご紹介します。QNAPのNASと仮想マシンを利用する方法です。

第3回へ続く

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コメント

    • 2016年 8月 09日

    こんにちは。QNAPの検索でたまたまヒットしたので。
    サーバOSを立てるのとクライアントで安定性にそれほど差は無いのではと思います。むしろシステムが逝ったときに外部からリセットかけられるvProやリモートコンソールの有無で大きく違うかと。あとChromeにしろVNCにしろ外部から直接はちょっと怖いですね。

      • quattroguts
      • 2016年 8月 10日

      そうですね。ただ、今回の記事はChromeでお手軽サーバーが趣旨ですので。
      厳密に言えば、mac識別もしくはVPN云々が必要なんでしょうけど、それは敷居が高すぎます。

  1. 2016年 4月 11日

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